【徹底解説】インドネシアのBIPAとは?コロナ後の最新情報を解説!
「インドネシア語を短期でしっかりと習得したい!」「BIPAってインドネシア大学の学部なの?」「私でもBIPAに申し込めるの?」
このような疑問をお持ちの方向けに、インドネシア政府が推し進めるBIPAプログラムについて解説します。
この記事を参考に、インドネシア大学のBIPAについて理解を深め、インドネシア語学習を始める足がかりになれば嬉しいです。
目次
BIPA(ビパ)とは?
この記事の読者のみなさんは、インドネシア語を学習しようと思いたち、調べていくうちに「BIPA(ビパ)」という言葉に到達したのではないでしょうか。
BIPA(ビパ)とは、インドネシア語のBahasa Indonesia bagi Penutur Asingの頭文字をとった略語で、日本語に直訳すると「外国人話者のためのインドネシア語」、つまり外国人向けインドネシア語コースです。
大学などでBIPAコースが設けられていることが多いですが、高卒以上でお金を払えば、試験に合格する必要もなく誰でも通学可能です。
BIPAの基本情報
BIPAは、インドネシアの教育・文化・研究・技術省(日本の文部科学省のような組織)の言語開発庁が管轄しています。
BIPAの目的は以下の通りです。
- インドネシア語の普及
- インドネシアの社会や文化の認知拡大
- 国際社会においてインドネシア語の機能を向上させること
管轄する省庁はインドネシア語学習カリキュラムの整備や教師の選考を行っていて、実際に外国人に対してインドネシア語を教えるのは各教育機関です。例えば、日本人に有名なところでは、ジャカルタ首都圏にあるインドネシア大学やアトマジャヤ大学、ジョグジャカルタにあるガジャマダ大学などがあります。
BIPAを提供する教育機関はインドネシア国内に限ったものではなく、国外にもあります。国外の場合、政府がインドネシアから教師を派遣したりするそうです。
日本人に人気のBIPA(ビパ)を提供する教育機関
上記の通り、BIPA(ビパ)はインドネシア大学だけにある学部というわけではなく、インドネシアの国内外あらゆる教育機関で開設されています。
その中でも、日本人に人気の大学を3つ紹介します。
インドネシア大学(Universitas Indonesia)
ジャカルタ近郊のデポックにある国内トップクラスの有名な国立大学です。ジャカルタ都市部から通うことができ、ネームバリューや安心感もあることから、日本人に人気です。企業の語学研修や、大学生の留学などでも利用されることが多いです。週5日間通学し、がっつりと学びたい人向けです。次章から詳しく解説します。
ガジャマダ大学(Universitas Gadjah Mada)
ジョグジャカルタにある国内最高峰の国立大学です。企業の語学研修などに利用されることもあります。ジョグジャカルタは日本でも観光地として有名ですが在住者は少なく、BIPAに通う日本人はインドネシア大学ほど多くはありません。
アトマジャヤ大学(Universitas Katolik Indonesia Atma Jaya)
ジャカルタの中心地にある私立大学です。学費の安さと通いやすさから、駐在員の家族などによく選ばれています。週5日のインテンシブコースと、週2日のレギュラーコースがあり、さらにレギュラーコースは昼間の授業だけでなく、18時からの授業もあって、あらゆるニーズに対応しています。
インドネシア大学のBIPAのメリット
この記事では、日本人が多く通うインドネシア大学のBIPA(ビパ)について、実際に通ったことのなる私が解説していきます。ちなみに現地ではインドネシア大学(Universitas Indonesia)のことを「UI(ウーイー)」と略すので、インドネシア大学のBIPAは通称「BIPA UI(ビパ・ウーイー)」と呼ばれています。
BIPA UIは何といっても「結果が出る」ところが良いところです。
短期間でしっかり習得
インドネシア大学のBIPA(ビパ)のスケジュールは以下の通りです。
- 月~金曜日、8時半から13時まで
- 午後はサークル活動へ参加可能
- 宿題あり、定期テストあり
加えて、初日からインドネシア語オンリーで授業が進みます!(先生は英語が話せるので本当に困ったときは英語でOK)
カリキュラム、例えばアルファベットの読み方から始まり、挨拶や数字を順番に学んでいくという大枠は、どこの教育機関のBIPAでも共通です。しかし、インドネシア大学のように授業時間が長いと、ひとつの項目にしっかりと時間を費やすことができるので生徒の習得度が高くなります。
授業中に全員がデモンストレーションを行えたり、ゲストを呼んでインタビューしたりすることで、「知る」だけではなく「使う」ことができるようになります。
この平日週5日、朝からインドネシア語漬けの環境のおかげで、入学から1~2カ月である程度コミュニケーションが取れるようになります。
私は数字も分からない状態で入学し、2カ月弱で台湾人のクラスメイトと1泊2日の旅行に行くことができました。友達との会話や観光地でのやり取りはすべてインドネシア語でできたので、驚くほど短期間でインドネシア語が身に付いたなぁと感じています。
先生の質が高い
次に、先生の質の高さです。さすが、国内有数の国立大学で、且つ政府が教師の選考を行っているだけあります。
大学教授のような専門知識を難しく説明する先生や、予備校の先生のような教え方が我流すぎる人はあまりいません。
私の所感ですが、インドネシア語を広めることに誇りを持って教えているように感じました。
課外授業やサークル活動が豊富
インドネシア大学のBIPAには、課外授業があります。コロナで一時はオンライン授業となったため中止されていましたが、すでに再開しています。
例えば、
- 電車に乗る
- テーマパークに行く
などです。
大学の外に出て、日頃学んでいるインドネシア語を実際に使う機会があります。また、教室内でもゲストを招いて料理をして見せたり、キャンパスにいるインドネシア人学生に道を聞く練習をしたりします。
BIPAでやっているサークル活動は以下の通りです。
- ガムラン音楽
- アルンバ音楽
- 伝統舞踊
- バティック作り
この他、インドネシア人学生が通常参加しているサークルに参加する人もいました。こちらは難易度が高めですが、日本語専攻の学生と知り合ってサッカーサークルに加入している友達がいました。
授業の終わった13時以降、サークル活動に参加して文化を知るのもいいかもしれません。
入学タイミングが年3回ある
全てのBIPAで共通ですが1セメスターは4カ月間で、3セメスター制を取っています。
- 1月から4月
- 5月から8月
- 9月から12月
年に3回(1月、5月、9月)に入学タイミングがあります。後ほど説明しますが、初級・中級・上級の3レベルあるので、フルで通うとなると1年間かかります。都度の更新も可能なので、例えば初級を5月から受け、終わってみてまだ続けたいと思ったら9月から始まる中級に申し込むというのが可能です。
国際色豊かなメンバーとの交流
日本人向けのインドネシア語スクールではありませんので、国や年齢が様々な学生たちが集まってきます。
私が通っていたときは、最も多いのが韓国人の大学生でした。インドネシア語専攻の学生たちで、カリキュラムの一環としてインドネシア大学のBIPAへの1年間の留学があったみたいです。
社会人も半分位いました。日本企業、韓国企業の語学研修として入学してる人、インドネシアでの転職を希望する台湾人、駐在員の家族などです。20代から50~60代と年齢層はかなり幅広いです。
仕事に対する各国の異なる価値観を知り、いくつになっても挑戦できるのだなぁとたくさん刺激を受けました。
インドネシア大学のBIPAのデメリット
いくつかデメリットもありますので解説します。
学費が高い
ズバリ、インドネシア大学のBIPAは他の教育機関で提供されているBIPAよりも価格が高いです。
参考として、各大学がレギュラープログラムと呼んでいるコースの初級1セメスター分の学費を比較します。
- インドネシア大学:Rp. 20.000.000(日本円で約18万5000円)
- ガジャマダ大学 :Rp. 13.692.300(日本円で約12万5000円)
- アトマジャヤ大学:Rp. 2.900.000 (日本円で約2万6000円)
インドネシア大学、高いです。ただ、メリットで挙げましたが質の高い先生のもとで週5日しっかり学べて、課外授業やサークル活動もあることを踏まえると、相応の価格だと思います!
首都郊外にある
総合大学であるインドネシア大学は、ジャカルタ郊外のデポックというエリアに立地しています。デポックはジャカルタ首都圏に含まれるものの、市街地からは車や電車で1時間程度かかります。
近くに下宿するか、ジャカルタ市街地に住む場合は車orオンラインタクシーor電車での通学となるでしょう。
幸い、インドネシアのバイクタクシーは日本のタクシー程高くなく、電車であっても大学の最寄り駅があるので利用しやすいです。
電車の場合、通勤列車「KRLコミューターライン」の「ボゴールライン」のインドネシア大学駅(Stasiun Universitas Indonesia)が最寄り駅となります。
インドネシア大学のBIPAへの申し込み方法
インドネシア大学のBIPA(ビパ)は、入学試験などもなく高卒以上なら誰でもお金を払えば通うことができます。ここからは実際の申込方法を解説します。
レベル
初・中・上級について説明します。
- BIPA1(ベーシックレベル)
いわゆる初級です。アルファベットの読み方、挨拶、数字から始まりレストランでの注文方法や病院での病状の伝え方などを学びます。最低限の日常生活ができるようになります。
- BIPA2(インターメディエイトレベル)
いわゆる中級です。旅行の予約や会社での会議ができるようになります。インドネシア語での簡単なプレゼンテーションもできるようになります。日常生活に支障のない程度の語学力を身に付けることができます。
- BIPA3(アドバンスドレベル)
いわゆる上級です。論文が書けるようになります。日常生活以上の専門的な内容を学ぶことができます。
まずは現状のレベルと照らし合わせて始めたいレベルを決めましょう。中級または上級から入る場合は、申込前にプレイスメントテストを受ける必要があります。
カリキュラム
話す、読む、書く、聞く、文法の5つの科目があります。
1週間のカリキュラムの例がこちらです。私が通っていたときはスピーキングの時間が多めに設けてありましたが、5科目平等に割り振られることもあるようです。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
8:30-10:00 | スピーキング | リーディング | 文法 | スピーキング | ライティング |
10:30-13:00 | ライティング | リスニング | スピーキング | リスニング | リーディング |
年間スケジュール
1セメスターは4カ月間で、3セメスター制を取っています。
- 1月から4月
- 5月から8月
- 9月から12月
どのタイミング(1月、5月、9月)からでも、どのレベルからでも入学できます。同じタイミングに同じレベルに入学した人は、卒業までエスカレーター式で共に進んでいく同級生のような存在になります。セメスター毎にクラス替えはあります。
インドネシア在住者の必要書類11種
たくさんありますが、ひとつひとつ揃えていきましょう。日本で準備した方がいいものもあるので、早めに行動し始めるのが吉です。
自分で用意するもの:
- One resent Photograph(照明写真)※背景は赤
- Photocopy color of the Applicant’s Diploma, Transcript, Academic Certificate(高校・大学の卒業証明書のカラーコピー)※英字、日本にいる間に取り寄せておきましょう
- Photocopy color passport(パスポートのカラーコピー)
- Photocopy color ITAS Online/ VISA(ITASのカラーコピー)
指定の書式に記入するもの:
- Applicant’s Form(申込フォーム)
- Statement Letter(同意書)
- Study Permit Report Form(自己紹介)
- Medical Report(健康状態や病歴を記載するもの)
- A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the Indonesian rules(インドネシアのルールに従うという誓約書)
- A letter from the Applicant’s sponsor or guarantor which stated their responsibilities to finance all the Applicant’s expenses while studying at BIPA Program.(金銭面を保証してくれる人物・企業からのサイン)
入学許可がおりた後に準備するもの:
- 授業料、登録料、テスト代(中・上級から入学の場合)の入金が確認できるもの
指定の書式はメールで問い合わせして入手します!インドネシア大学のBIPA事務局のメールアドレスはこちら。英語もOKです。
インドネシア非在住者の必要書類12種
インドネシア非在住者がインドネシア大学のBIPAで学びたい場合、1セメスターのみであれば訪問ビザ(VISIT VISA FOR SOCIO-CULTURAL)が、2セメスター以上であれば学生ビザ(LIMITED STAY PERMIT FOR STUDENT VISA)が発給されます。VISA申請の関係上、授業開始の3カ月前には必要書類を送付する必要があります。
自分で用意するもの:
- One resent Photograph(照明写真)※背景は赤
- Photocopy color of the Applicant’s Diploma, Transcript, Academic Certificate(高校・大学の卒業証明書のカラーコピー)※英字、日本にいる間に取り寄せておきましょう
- Photocopy in color whole pages passport(パスポート全ページのカラーコピー)※学生ビザの場合は有効期限18カ月以上
指定の書式に記入するもの:
- Applicant’s Form(申込フォーム)
- Statement Letter(同意書)
- Study Permit Report Form(自己紹介)
- Applicant’s Curriculum VItae(経歴書)
- Statement from Hospital or physician that the Applicant is physically and mentally healthy(健康証明書)※授業開始の3ヵ月以内有効
- A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the regulation in BIPA Program(BIPAのルールに従うという誓約書)
- A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the Indonesian rules(インドネシアのルールに従うという誓約書)
- A letter from the Applicant’s sponsor or guarantor which stated their responsibilities to finance all the Applicant’s expenses while studying at BIPA Program.(金銭面を保証してくれる人物・企業からのサイン+1500米ドル以上の銀行の残高証明+英語の戸籍謄本・住民票)
入学許可がおりた後に準備するもの:
- 授業料、登録料、テスト代(中・上級から入学の場合)の入金が確認できるもの
ビザの種類の相談や指定書式の入手はメールで行えます。インドネシア大学のBIPA事務局のメールアドレスはこちら。英語もOKです。
学費
インドネシア大学のBIPAの価格は以下の通りです。
授業料 | Rp. 20.000.000 | 1セメスターごとに発生 |
登録料 | Rp. 750.000 | 初回申込時のみ必要 |
テスト代 | Rp. 500.000 | 中・上級から入学の場合のみ必要 |
仮に初級から1年かけて上級まで完了するとなると、
授業料×3+登録料=Rp. 60.750.000(日本円で約56万円)
となります。
インドネシア語を短期でしっかり習得しよう
以上、BIPA(ビパ)という国の制度の説明から、インドネシア大学のBIPA(ビパ)に通うにはどうすればいいのかまで解説してきました。
カリキュラムがしっかりと確立されているBIPA(ビパ)でインドネシア語を学習するのは本当におすすめです。
さらに、短期でがっつりと習得したいのであれば、他と比べると価格は高めですがインドネシア大学のBIPA(ビパ)で学んでおいて損はないでしょう。
インドネシア語を習得して、新たなインドネシア生活が充実したものになることを願っています。